ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
杜氏であり、さらに資産家という大層な肩書きからは想像がつかない、やんちゃで痛い男だ。が、こんな親父も嫌いではない。
苦笑を漏らし、昔からほとんど変わらない店内をぐるりと見回す俺に、父はゴム手袋を外しながら問いかける。
「お前んとこのひやおろしの売れ行きはどうだ?」
「なかなか好調だよ。今年はさらに香りがよく仕上がってる」
「そうか。ウチも負けてらんねぇな」
彼はレジのカウンターに片手をつき、どこか楽しそうに言う。
だいたいこの酒蔵と同じ酒を造っているが、本社オリジナルの酒も開発している。ひやおろしもそのうちのひとつだ。どちらも御鏡酒造の酒なので張り合う気はないが、父にとってはいい刺激になるらしい。
俺は棚から値が張る純米大吟醸の黒い瓶を手に取り、金色の文字が輝くラベルを眺める。これは俺たちが特に力を入れた酒で、あらゆる場所でアピールしている一押し商品だ。
「来月、在日フランス大使館で行われるパーティーでも、御鏡の酒を提供させてもらう。これでまた話題になるだろう」
「日本食のプロモーションイベントだったか。外交に俺たちがひと役買う時が来るなんて思いもしなかったな。史悠のおかげだ」
苦笑を漏らし、昔からほとんど変わらない店内をぐるりと見回す俺に、父はゴム手袋を外しながら問いかける。
「お前んとこのひやおろしの売れ行きはどうだ?」
「なかなか好調だよ。今年はさらに香りがよく仕上がってる」
「そうか。ウチも負けてらんねぇな」
彼はレジのカウンターに片手をつき、どこか楽しそうに言う。
だいたいこの酒蔵と同じ酒を造っているが、本社オリジナルの酒も開発している。ひやおろしもそのうちのひとつだ。どちらも御鏡酒造の酒なので張り合う気はないが、父にとってはいい刺激になるらしい。
俺は棚から値が張る純米大吟醸の黒い瓶を手に取り、金色の文字が輝くラベルを眺める。これは俺たちが特に力を入れた酒で、あらゆる場所でアピールしている一押し商品だ。
「来月、在日フランス大使館で行われるパーティーでも、御鏡の酒を提供させてもらう。これでまた話題になるだろう」
「日本食のプロモーションイベントだったか。外交に俺たちがひと役買う時が来るなんて思いもしなかったな。史悠のおかげだ」