ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 誇らしげにする父に、俺の口元も緩む。

 この酒蔵だけで営業していたら、おそらく得られなかった機会だろう。そのチャンスを増やしていくことが俺が社長になった目的のひとつでもあったので、達成感もひとしおだ。 

 終始にこにこしている母も「本当にそうよねぇ」と頷き、ふいにわくわくした様子で聞いてくる。

「フランス大使館ってことは、あのラヴァルさんも来るのかしら?」

 ラヴァルさんというのは三十三歳という若さでフランス内閣の最年少環境大臣に就任した男性で、モデルのように美しい容姿が日本でも話題になった人物だ。

 例のイベントは日仏間の観光交流を目的としたもの。ラヴァルさんとは直接関係がないので、来るかどうかは微妙なところだ。

「まだ詳しいことはわからないが、今回は難しいと思う。でもかなりの親日家だし、日本での会議だとか、なにかしらの予定があれば来るかもな」
「そう。来るなら私も参加させてもらいたいわ〜。ハリウッドスター並みにイケメンな閣僚、生で見たら枯渇した胸キュンが補給できそうだもの」

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