ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
酔いどれ社長が豹変した日

 クリスマスツリーが飾られた幻想的な水族館を、彼と手を繋いで歩いているだけで私の心もきらきらと輝いていた。

 もう疑いようがなかった。私は完全に恋に落ちているって。

 母の話が自然にできたのも、御鏡さんなら冷静に聞いて、同情も偏見もない率直な言葉をくれるだろうと思ったから。

 予想通り、彼から返ってきたのはこれまで誰にも言われなかったことだった。

 ずっと自分の中で飲み込もうと思っていた母への恨み言を、直接ぶつけてもいいのだと言われただけで少し気持ちが軽くなった。これまで頑なに会おうとしなかったけれど、そうやって母を拒絶し続けることが自分を苦しめているのかもしれない。

 彼に気づかされることがたくさんある。彼と一緒にいたら、きっと私の人生はもっと豊かなものになる。

 この気持ちを伝えてみようか。そんな思いが膨らんできたところで、待ったをかけるように電話がかかってきた。

 ああ、いい雰囲気だったのに……と内心肩を落とすも、電話の相手は祖父だったので仕方ない。祖父から電話がくるのは珍しくないので、いつものようにたわいない内容だったら早めに切り上げさせてもらおう。

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