【電子書籍化】婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります!〜冥王様と共に絶望をお届けする予定ですけど……覚悟はいいですか?〜
それからヴィヴィアンはサミュエルの側で繕いものをしたり、キーンとアーロがいる時はサミュエルも誘ってお茶をしたりと、サミュエルとの時間は自然と増えていく。
別に迷惑そうでなければ嫌がってもいないので大丈夫だろうと思いつつも、彼の優しさに甘えて心地のよく和やかな時間を過ごしていた。

ここで暮らしていると窮屈な思いをして我慢ばかりして暮らしてきたことが馬鹿馬鹿しくなってしまうのと同時に、本当の自分を思い出していた。
真っ黒な屋敷が輝きを取り戻して綺麗になっていくとヴィヴィアンの心も大切なものを取り戻していくような気がした。
こうして思いきり笑うことも怒ることも、悲しむことも隠さなくていいと知る。

その後もサミュエルと一緒に話しながら綺麗になった城を歩いていた。
彼は時折、何かを考えながらヴィヴィアンを見つめていることがある。
サミュエルの端正な顔立ちに見つめられるとソワソワしてしまう。


「サミュエル様……どうかしましたか?」

「いや、なんでもない」

「えっと、今日はモネ達とこの辺を綺麗にしたのですよ!みんなも手伝ってくれて、もうすぐに終わりそうです」


サミュエルは興味深そうに辺りを見回している。


「綺麗だな」

「今から布や糸が落ちていないか探しにいくのですがサミュエル様も一緒にいかがですか?」

「布……?」

< 122 / 216 >

この作品をシェア

pagetop