【電子書籍化】婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります!〜冥王様と共に絶望をお届けする予定ですけど……覚悟はいいですか?〜
一章
(…………ここは?)
もしかして天国かもしれないと思ったヴィヴィアンは目を開けた。
真っ黒な天井とボロボロに引き裂かれた天蓋が目に入る。
ゆっくりと体を起こして辺りを確認してみると、そこら中が引き裂かれていたり、テーブルが割れていたりとまるで廃墟のような場所で眠っていることに気づく。
「ここは……どこなの?」
自分の声が耳に届いてハッとした。
死んだはずの自分の声が聞こえることに驚いていた。
それに布に擦れる感覚もある。
ヴィヴィアンは自分の手のひらを見ながら首を捻った。
以前よりずっと白くなった肌は青味がかって不気味だった。
(……まるで話に聞くアンデッドみたいね。肌が真っ青だわ)
死んだのだから当たり前かと思いつつ、ヴィヴィアンは立ちあがろうとすると足に力が入らずにベッドから転げ落ちてしまう。
ベチャという鈍い音と共に顔が床に打ちつけられてヴィヴィアンは「ゔっ!」と声を上げた。
死んだはずなのに痛みを感じたことに違和感を感じて首を捻る。
「変な天国……」
「ここは天国ではない」
「え……?」
ヴィヴィアンは先程ぶつけた鼻を押さえながら声が聞こえた方を見上げる。
そこにいたのは美しい容姿の男性だった。
長い艶やかな黒髪が肩に流れている。
そして薔薇のように真っ赤な瞳と金色の瞳のオッドアイがヴィヴィアンを映していた。
(綺麗な赤と金……まるで宝石みたい。吸い込まれてしまいそう)