【電子書籍化】婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります!〜冥王様と共に絶望をお届けする予定ですけど……覚悟はいいですか?〜
「ヴィヴィアン様は黒い泥の中に飲み込まれていきました……」
「っ、こんなことは信じられません!」
その言葉にベルナデットの心が満たされていく。
フラリとよろめく体を背後にいたジェラールが支えた。
「ジェラール殿下ぁ……ヴィヴィアンが」
「ベルナデットの気持ちはよくわかる。隣国の会合に参加している父上にこのことを報告しなければならない」
「はい……そうですわね」
ベルナデットはジェラールと共にヴィヴィアンが消えてなくなったことを知らせて回らなければならない。
そして何よりベルナデットの父親であるスタンレー公爵にも、この作戦がうまくいったことを報告したくて仕方なかった。
ラームシルド公爵家はスタンレー公爵家と長い間、対立してた。
グログラーム王国の王家を支えてきた二台柱。
保守的なラームシルド公爵のことを父はいつも嫌っていた。
それに加えて優秀な息子、マイロンがいるラームシルド公爵家とは違い、スタンレー公爵家には女遊びのことしか頭にない役に立たない兄がいた。
ベルナデットにとってはいい兄ではあったが、両親にとっては違ったようだ。