【電子書籍化】婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります!〜冥王様と共に絶望をお届けする予定ですけど……覚悟はいいですか?〜
「冥王様、大丈夫ですかっ!?」
「くっ……」
耳鳴りのように響いていく高い音が引いていく。
視線を向けるともう黒猫はいなくなっていた。
(今のは、なんだ……?)
サミュエルはキーンに肩を借りて立ち上がる。
今まで記憶にあるだけで、このような痛みを感じたことはない。
近づいてはいけない、そう反発するような感覚がした。
「ちょっと待って……!どこにいくの?」
黒猫を追いかけるようにして茶色のカゴを片手で持っている出てきたのはヴィヴィアンだった。
ボロボロな聖女服ではなく簡易的なワンピースに着替えており、髪を二つに結っている。
ヴィヴィアンの後に続いているのは動物型のアンデット達だった。
動物型のアンデッドは骨だらけだったり、肉がとけたりしている。
「ああ、そうだったわ。君達もすぐに楽にしてあげるからね」
ヴィヴィアンが足を止めると動物達は次々に群がっていく。
ヴィヴィアンの銀色の光を手に纏い、動物型のアンデッド達の前に翳すと光に包まれていく。
すると骨や皮だけだった体は本来の姿を取り戻していく。
「なっ……!?」
「…………」
「嘘、だろう?」