【電子書籍化】婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります!〜冥王様と共に絶望をお届けする予定ですけど……覚悟はいいですか?〜
ヴィヴィアンは自分の両手を見て狼狽えている。
たしかにここに来たばかりの時にヴィヴィアンを抱えて城まで運んだのはサミュエルだった。
その時、黒い煙も出ることなくヴィヴィアンに対する違和感も感じていなかった。


「とりあえず冥王様から離れろ!このっ」


キーンがヴィヴィアンをサミュエルから引き剥がそうと彼女の手首を掴むと、先ほどと同じ音と共にそこから黒い煙が立ち上る。
キーンは慌てて手を離すものの、サミュエルと同じように痛みがないことが不思議なのか自分の手のひらとヴィヴィアンを交互に見つめて眉根を寄せた。


「い、今……何が?」

「うげぇ、なんだか痛そうじゃん?」

「いや、痛みはない」

「そうなんだ。じゃあヴィヴィアンちゃん、何やったの?」

「わたしは何も……」

「じゃあさ、僕とも握手してみてよ」

「え!?」


アーロはそう言うとヴィヴィアンの胸元にあった手をとる。
三回目のジュワという音と共に煙が上がっていくのをキーンとアーロは冷静に観察している。


「……うーむ」

「ア、アーロさん!?大丈夫なんですか?」

「うん。全然平気」
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