【電子書籍化】婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります!〜冥王様と共に絶望をお届けする予定ですけど……覚悟はいいですか?〜
だがヴィヴィアンはジェラールに殺されてからアンデッドになった。
そう考えた瞬間、ゾワリと鳥肌が立つ。

これ以上、このことを考えたくなくてヴィヴィアンは後ろを振り向いて砕け散った小屋を見た。
折角、サミュエルからここに住んでいいと許可をもらったのにも関わらず、その小屋が大破してしまったことに内心では焦りを隠せなかった。
ヴィヴィアンが困惑していることがわかったのか、サミュエルが「大丈夫か?」と声を掛ける。
心配をかけてはいけないと無理矢理笑みを浮かべた。

(そういえば、いつもこうやって無理ばかりして笑っていたっけ……)

自分がアンデッドになってまで力を使わないと落ち着かない。
動物達を治療することも、こうして無理をして笑い続けるのも、なんだかもう癖になってしまっていた。
自由になったとしても、どう動けばいいかヴィヴィアンにはわからない。

『ヴィヴィアン、真っ直ぐに前に進み続けなさい。そうすればきっと報われる日が来る。心から笑顔になれる日が来るさ』

ヴィヴィアンを引き取り、育ててくれたラームシルド公爵はそう言っていつもヴィヴィアンの頭を撫でてくれた。
大きな手と優しい笑顔を今でも思い出すことができる。

『何があってもボクはヴィヴィアンの味方だよ。キミを信じている』

失敗しても、間違えても、裏切ってもヴィヴィアンに向き合い続けてくれたのはラームシルド公爵とマイロンだけだった。
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