墜愛
新しい恋
大学1年の夏の、ある夜。
その日は
サークルメンバーでバーベキューをした後に花火をしようと、
海辺に集まっていた。
花火で皆が盛り上がっている中、
3年の美人な先輩に連れられて、
綾人はどこかへ消えていった。
「綾人くん、モテるねぇ。今度は森崎先輩かあ…。」
仲良しメンバーの1人の歩美が、
綾人と森崎先輩の後ろ姿を見送った後に、そう呟く。
「遊び人でなければ、優しくて、いい人なのに。ね、麗蘭?」
「そうだねぇ。」
私が適当に話を流そうとすると、
歩美が私の顔を覗き込んで尋ねた。
「…ね、麗蘭。」
「んー?」
「私が綾人くんに告白したら、嫌?」
ドクン、と心臓が跳ねる。
手にしていた線香花火の火を見つめたまま、
硬直してしまった。
可愛くて、愛嬌のある、歩美が?
綾人に、告白…?
サークル内でも人気のある歩美。
告白されて、断る理由なんて、どこにある?
間違いなく、綾人は付き合うだろう。
ドクン、ドクンと心臓が脈打って、うるさい。
今まで、色んな人が綾人と付き合ってきたのは見てきたけど、
こんなに身近な、
友達と付き合うのは、まだ見たことがなかった。