墜愛
「…麗蘭?」
返事をしない私を不思議に思ったのか、
歩美がもう一度、声をかけてくる。
ハッと気付いた時には、
線香花火の火も、落ちてしまっていた。
「あ、ごめんごめん!うん、告白ね!なんで私が嫌がるのよ。歩美なら大丈夫。成功するよ、絶対。」
「そう…かな?」
「うん!綾人も、前に『歩美っていいやつだよな』って言ってたし。」
「そうなの!?嬉しい。じゃあ今度頑張って告白してみる!」
「うんうん。頑張って!」
嬉しそうに笑う歩美に、
私も笑顔で応援の言葉を送る。
いいな、歩美は。
とても素直で、ホントにいい子。
その上、女の子らしくて可愛い。
もしかしたら、
綾人が歩美と付き合い始めたら、
もう歩美しか見えなくなって、
近い将来、
結婚してしまうかもしれない。
急に不安になる。
友達の恋はもちろん、応援したい。
でも、私のこの片想いは、
もう叶うことがないのかもしれない。
複雑な気持ち。
必死に平静を装っていると。