墜愛
すらっとしたスマートな高坂先輩。
身長は私より、15センチ以上は高い気がする。
たぶん、綾人と同じくらいだ。
「火が消えちゃう前に、しよっか。花火。」
そう言って私の手から花火を受け取ると
「好きなの、どうぞ」
と言って差し出してくれた。
その中から1本抜き取り、先輩がセットしてくれた蝋燭に、花火の先を近づける。
先輩の花火も、その横から差し出された。
チラッと、高坂先輩の方を見る。
先輩の顔は、
蝋燭の光に照らし出された部分が橙色になっている。
温かみが感じられるその光は、
先輩の穏やかな性格が垣間見える表情を、ますます柔らかく魅せていた。
何となくそのまま、先輩の顔を眺めていると。
「あ!ほら、火点いたよ!」
そう高坂先輩に言われて、慌てて蝋燭から花火を離した。
少し離れたところまで歩いていき、立ち止まる。
黄、碧、橙…と、次々に色を変えていく花火。
じっくりと眺めていると、隣に高坂先輩が立った。
「麗蘭ちゃんって、今彼氏いるの?」
突然の質問。
「いえ。できたこと、ないです彼氏。」
花火を見つめながら、そう答えると。
「そうなんだ。…じゃあ、ちょっと頑張ろうかな。」
なんて、先輩が呟いた。
「頑張る…?」
勘違いしたくなくて、念のため尋ねてみる。