墜愛
サラッと告白されてしまった。
こういうスマートなところが、
高坂先輩が人気のある、理由の1つなのかもしれない。
でも…
「すみません、私、全然高坂先輩のこと意識したことなくて…」
「それは、まだフラれてないって思って大丈夫かな?」
「え?」
「意識してもらえるように努力しようと思ってる。だから、さっきの言葉は、告白でもあるけど、今から積極的にいかせてもらうよっていう、宣言でもあるから。」
「そう…なんですね。」
「迷惑?」
「いえ…」
一瞬、綾人の顔が頭の中に浮かんだ。
けど。
さっき森崎先輩と一緒に並んで
どこかへ行っている彼の背中を思い出した。
頭を振って、思い出したシーンを振り払う。
それを、否定と取ったのか、
高坂先輩は安心したように笑って「よかった」と呟いた。
優しい先輩。
私も、綾人なんて好きになるのをやめて、
高坂先輩を好きになったら、幸せになれるのかもしれない。
一瞬、そんな考えが頭をよぎった。