墜愛


「なあ…どうなの、俺の体。」



真っ直ぐ見つめてくる綾人の視線から、目線を逸らす。



「どうって…」



じりじりと近寄ってくる綾人。



それに合わせてソファの上で距離を取るけど、

すぐにソファの肘掛けに辿り着いて、

それ以上逃げられなくなった。



「触ってみる?」



そう言って私の手を取ろうと、

そっと綾人の手が触れてきたから、

慌てて自分の手を引っ込めた。



好きな人に、初めて、手を触れられた。



それだけで私の顔が一気に熱くなるのが分かった。



「…麗蘭。」


「なに。」


「顔赤くない?照れてんの?」


「赤いのは…夕日のせいでしょ。」


「ふうん?じゃあ確認、させてよ。」



そう言って、私の顔に手を添えてきた綾人。



ますます顔が熱くなって、変な汗が出てきそう。



平然を装っているつもりだけど、

心臓がバクバクして、

もう…隠しきれそうにない。



「麗蘭。もしかして…俺の事、好き?」



ドクン、と心臓が脈打つ。



今日、こんなタイミングで、

4年も隠し続けてきた、綾人に対する好意に、

いとも簡単に、気付かれてしまうなんて。


そんな心の準備、してきてない。


いつもならすぐに憎まれ口を叩いて攻撃できるのに、

好きじゃない(ふう)を装った、いつもの反応が、できない。



妙に喉が渇いて、口が動かない。


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