墜愛
「おー、お客さん、多いな。結構席埋まってる。どこら辺がいい?」
チケット販売機に表示されている空いた座席を見ながら、先輩が私に尋ねてきた。
「うーん、真ん中はほとんど埋まってますね。この端っこ辺りはどうですか?」
「いいよ。そこにしよ。」
そう言葉を交わし、チケットを発券する。
売店で飲み物を買った後、スクリーンへ向かった。
一列に4人しか座れない列。
通路側に座った私の横に、先輩が座る。
「見えにくくないかな?大丈夫そう?」
「大丈夫です。先輩ってホント優しいですね。」
「麗蘭ちゃんにだけね。」
にっこり笑った先輩。
こんなに優しい先輩が私のことを好きって言ってくれてるのに、
私は最近、女たらしの幼馴染と連日、体を重ねている。
付き合っていないとはいえ、
なんだか申し訳ない気持ちになってきた。
大学の話や、
先輩の内定先の仕事の話を聞いているうちに、
映画が始まった。