墜愛
しばらく呆然としていたけど、
我に返って、
先輩とは反対側のホームに続く階段がある方へ、歩いて向かった。
すると。
「麗蘭!」
後ろから声を掛けられ振り向くと、歩美が駆け寄ってきた。
「歩美!どうしたの?偶然だね!」
「ホント、偶然ー!」
「歩美、何してたの?」
「私?合コン帰り!」
「合コン?」
「そ。綾人くんにフラれちゃったから、気分転換にね!イケメンと連絡先交換できたから収穫、収穫♪」
「え!?綾人にフラれたの?」
「そ。一昨日、ね。好きな人いるからってフラれちゃった。」
「そう…なんだ。」
意外だ。まさか歩美をフるなんて…。
「麗蘭は、高坂先輩と上手くいってるみたいだね?デートだったの?さっき抱きしめられてるの、見ちゃった~♪」
「な!違う違う。あれは何と言うか…揶揄われたようなもんで…。」
「そうなの?付き合ってないの?」
「ないない!!」
「ふーん…。なんで?」
「うーん…なんだか好きっていう気持ちに、まだなれないというか…。」
「そうなの?あんなことまでされて、好きになれないの?」
「そ、それは…」