墜愛
最愛
歩美にはっきり言われて、私の気持ちもはっきりした。
高坂先輩に手を握られ、抱きしめられて感じた違和感。
相手が綾人じゃないから、そう感じたんだ。
綾人と抱きしめ合う時は、心地よくて、幸せに感じる。
これが、私の答えだ。
綾人に、今すぐ会いたい。
会って、気持ちを伝えたい。
そう思って、綾人に連絡するために、スマホをバッグから取り出すと。
「…え?」
綾人から何度か着信が入っていた。
しかも数分前。
慌ててリダイヤルするけど、なかなか繋がらない。
何の用事だったんだろう。
『何か用だった?』
そうメッセージを送りながら、ホームへ向かうエスカレーターに乗った。
ホームに着いても、既読にならないメッセージを見つめながら、
ちょうど来た電車に乗り込んだ。