墜愛
「…なに、それ。」
私の一言で、そんなことまでしたの?
しかも嫉妬して欲しかったって?
ますます驚きが隠せない。
「…でも、その癖がついて、まだ色んな人と遊んでるんでしょ?」
「何言ってんだよ。去年から徐々に女は切って、今は完全フリーだよ。」
「え?じゃあ森崎先輩は…」
「告白されたけど、振ったよ。」
「…じゃあ、私と会った日に、必ず帰ってたのは…?」
「それは…これ、買うために、夜間のバイトしてた。」
そう言って、ライダースジャケットから小さな箱を取り出すと、私に差し出してきた。
「ホントは、麗蘭の誕生日にプレゼントしようと思ってたんだけど、バイト増やして、頑張って、今のタイミングで買った。…これ、受け取ってくれる?」
渡された箱をゆっくり開けると…
小さなリングが通してある、キラキラ光るネックレスがそこに収められていた。
「綺麗…。」
「これが俺の、精一杯の気持ち。このバラの花束も…」
そう言って、もう一度私の方へ向けられた花束。
「バラの花、何本あるか、数えた?」
「うん。11本あるね。」
「この意味、知ってる?」
「…ううん。何?」
「赤いバラが11本。意味は…『最愛』。」