時と姿を変えた恋
やはりそうだった。彼は私を見てにっこり笑った。私も微笑んだ。
お互いの考えていることが一致した瞬間だった。
いつもより来るのが少し早い。わざとだ。
私もわざと早く迎えに来た。拓也君を教室の待合室へ入れた彼は私に目配せした。私はトイレに行くフリをして外へ出た。
「会いたかった。三枝も早く来たんだな。お前ならそうすると思ったよ」
「志田さんもそうでしょ。拓也君すごいですね。ピアノものすごく上手。志田さんの音楽好きが遺伝したんじゃないですか?」
「それを言うならお前だってそうだろ。あの頃、一緒に仕事帰りコンサート行ったよな」
「……そう。懐かしいですね」
彼がじっと私を見ている。
「お前、なんだか綺麗になったな」
びっくりして彼を見た。