時と姿を変えた恋
「どうだろうな。お前のような気心の知れた奴がいればやる気にも繋がるんだが、いないからな。お前がいなくなってしばらくは本当に堪えたよ」
「志田さん……」
食事をすると、彼はゆっくり話がしたいと言って、外へ出た。
「昔はお前に嫌われたくなくて、手籠めにもせず、我慢した。今思うと本当に馬鹿だった」
「……え?」
「お前はどうして最後まで俺を拒んだ?俺に気が合っただろ。あの手紙を見れば一目瞭然だ」
辞めたときに渡した手紙のことだわ。そうね、告白に近かった。現状では一緒にいられないからと言う意味だ。
「志田さんの結婚式の二次会に新人の時に出席したんですよ。ふたりがキスするのを目の前であのとき見ました。頭の中には常にその光景が私の中にはありました」
「は、そんなことか……あれからお前と帰り飲んだりするようになったのは結婚から四年くらい経ってただろ。お前、あの当時付き合いかけている男がいるって言ってたな。今の旦那か?」