時と姿を変えた恋

「ねえ、志田さん。何があったの?」

「ふっ、お前、そういう所ちっとも変わらない。俺の目や仕草を見て何かあるとすぐに聞いてくれた。懐かしいよ」

「ごまかさないで」

 ベンチで足を組み、遠くを見た彼は言った。

「……うちの嫁が浮気してるんだ」

 びっくりして彼を振り返った。

「……え?」

 彼は私をふっと昔の顔をして見て、また前を見た。

「今日もそいつの所へ行ったよ。もう、一年近い」

「本当なの?どうして知ってるの?」

「三枝、お前って。人を疑わないのも相変わらずだな」
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