時と姿を変えた恋

「ううん、そんなことない。不倫は私の周りにもいる。ママ友にいたりするから……ただ、どうして知ったの?」

「それは、わかるよ。普段の匂い、顔、仕草、目線。それに、夜」

 なるほど。そうだよね、夜が特にそうかもしれない。

「それで?知らないフリをしてあげているんでしょ?」

「まあ、そうだな。俺も結婚当初、お前に……最後までお前が拒んだから、大丈夫だったが、まあ、少し不倫になりかけた」

 私は志田さんを見ながら言った。

「……だから、私と不倫をしたかったの?仕返しに今度こそ?」

 志田さんはふっと笑った。

「そうかもな。軽蔑するか?でもお前に話を聞いてもらえただけですっきりした。昔もそうだったよな、上司の悪口や先輩にこけにされてお前に愚痴って解消してた。俺、お前の存在って特別だったんだよ」
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