時と姿を変えた恋
「……はあ?もう、ママったら」
「どうぞ、お入り下さい。ああ、驚いた。もう、心臓止まるかと思った」
「そうですか?おばさんはおかわりありませんね。失礼します」
「彼とはね、大学のサークルで一緒になって、話してたらびっくりした。あの、拓也君だったんだもん。あっという間に仲良しになったんだ」
「そうだったの。あの、ちょっと聞いてもいい?」
あのとき、どうしてピアノ教室を辞めたのか気になっていたのだ。彼に理由を聞いたら、もしかしてと思っていた理由だった。
両親が離婚したという。拓也君はお父さんについていったので、マイホームを売却してマンションへ移ったのでピアノは辞めたらしい。
「……あ、あの、それでご両親は……今」
「はい。ぶっちゃけて言いますと、母は別な男の人が出来て別れました。だから、慰謝料とか本当なら母が払う立場でしたが、父が請求せず、とりあえず親権は父になって別れました」