時と姿を変えた恋
「志田さん」
「お前を奪って俺も不倫しようとあのときは思っていた。だが、お前に心配されてから、頭が元に戻ったよ。ありがとう」
「がんばりましたね。お一人で拓也君をあんなに立派に育てて。さすが、志田さん。尊敬しました」
「惚れ直したか?」
「ええ。そうですね。あのメモは間違いじゃなかったと思えました。そして、驚いたの。拓也君が昔のあなたにそっくりです。そして、早樹もいつの間にか私に性格が似ていて、早樹は拓也君を支えてるって聞いて、私……」
「笑えるよな。俺も拓也のはなしを聞いて驚いた。しかも、早樹ちゃんだが、仕草や表情がたまにお前に似ている。声も似てる。おかしくなりそうだったよ。息子の妻なのに、三枝が重なって見えた。タイムスリップしたみたいだった」
「早樹に手を出さないで下さいよ」
「じゃあ、代わりにお前が相手しろよ」
「……志田さん」
「何しろ、親戚になっちまったし、寂しい俺にたまには食事でも作ってくれよ」