時と姿を変えた恋

 その彼が、五メートル先にいた。間違いない。横顔が少し渋くなったが、纏う雰囲気が変わらなかった。

 彼は息子を間に奥さんと三人で並んで私達から横に離れた道を歩いて行く。

「……え、ねえ、ママ?」

「あ、ごめん、何?」

 早樹が不思議そうな顔をして私を見上げている。

「ねえ、拓也君どう思う?格好いいでしょ?パパより格好いいと思わない?」

「そ、そうね。背の高さは早樹と同じくらいじゃない?顔はまだ見てないからわかんないけど……」

「えー、顔見たら絶対驚くよ」

「そうなのね。何年生?」

「四年生だよ。隣の市の学校なの。うちの学校にはいない、マジのイケメン」

「そう。あちらのお母さんは知ってるの?」
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