時と姿を変えた恋

「うん。迎えに来ているの見てるよ。おうち、遠いんだって。車で送り迎えしてもらってた」

「ふーん」

「お母さんも美人だよ」

「そう。お父さんも美男子だもんね」

「……え?ママ、見えたの?」

「……あ、そうね。さっき見えたよ」

 会場へ入ると、ホールへ向かって歩いている人が大勢いる。ホールの前には受付があり、彼らが並んでいた。

「ママー、こっちだよ!」

 夫の手を離して、私に向かって一直線に健司が走ってきた。

「健ちゃん、走ったらだめよ」

 夫は早樹の側に来て、言った。
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