好きな人と暮らす初めての日
 彼は私が使ったタオルと服を片付けてくると言って離れていく。

 彼を待っている間、乾かしてもらった髪が目に入る。
 先程頭を洗ったシャンプーからはいつもリュカからしてくる匂いだったことを思い出し、自分の髪の匂いを嗅ぐ。


「リュカと同じ匂いがする」


 同じ匂いがしたことが嬉しくて呟くと、戻ってきた彼が後ろから抱きしめてくる。

 けどすぐに離れていく。
 それに不満を感じ、振り向いて彼にそれを伝える。


「どうして離れちゃうの?」

「リーベは風呂入ったのに、俺まだ入ってないから嫌だろ」

「ううん、嫌じゃないよ。それよりもリュカが離れた方が嫌だった」


 なんだそんなことかと思いそう返すと、彼は嬉しそうに私のことを後ろから抱きしめてくる。

 抱きしめられるのは嬉しいが、これじゃあ私が彼のことを抱きしめられない。


「抱きしめるなら前からにしてほしい」


 少し不満気に伝えると、彼が離れて私の横に座る。

 そしてまた抱きしめられる。
 今度は前からなので私も抱きしめ返して、彼の肩に顔を乗せる。
 彼の髪から私の髪と同じ匂いが微かにだがして、そのことに嬉しくなる。

 後ろからでも嬉しいけど、やはりするなら前からの方がいい。
 彼に包まれて安心したせいか、そのまま眠りにつきそうになったところで、ごはんのことを思い出す。
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