好きな人と暮らす初めての日

「ねえ、リュカ。ごはんはいいの?」


 折角作ってくれたのだし、暖かいうちに食べたいと思い彼に声をかける。


「そうだった。リーベが可愛くてすっかり忘れてた。さ、食べよっか」


 彼に促されてダイニングテーブルの方に移動する。
 近くに来ると、より美味しそうな匂いがする。


「食べないの?」

「食べるよ。……えっと、いただきます」


 匂いを堪能していると彼が声をかけてきたので、ごはんを食べる前には“いただきます”と言うと本で見た記憶があり、その掛け声をする。


「どうぞ」


 いただきますと言ったのはいいものの、形状でフォークとスプーンの使い方はわかるが、持ち方がわからない。

 そのことに気づいた彼が持ち方を教えてくれる。
 これでやっとごはんが食べられる。

 もう一度いただきますと言い、サラダを食べる。
 レタスがしゃきしゃきとしていて、かかっているドレッシングが絶妙に合って美味しい。カットされたトマトもみずみずしくて、これまた美味しかった。


「すごい美味しい」

「そっか、よかった。じゃあ、俺も食べようかな。いただきます」


 素直に伝えると、彼は嬉しそうに笑う。
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