好きな人と暮らす初めての日
 落ち込みながら続けていると、食器を拭いていた手を止めて彼が声をかけてくる。


「リーベどうしたの?」

「私が遅いから結局リュカにもやらせちゃって、私じゃ役に立てないなって」

「さっきも言ったけど、俺の役に立とうとか思わなくていいよ。俺はリーベが一緒にいてくれるだけでいいんだから」


 彼がまた抱きしめてくる。
 彼の腕の中は落ち着くが、この話をうやむやにしたくなくて話を続ける。


「私だってリュカの役に立ちたいの。いつもリュカに助けられてばかりで、何もしてあげられてないから」


 リュカの顔を見て話す私の頬に彼が優しく手を添える。
 彼は優しげに微笑んでいる。


「俺は本当にリーベがいてくれるだけでいいと思ってるけど、リーベの気持ちも尊重したい。だからこれからは色々頼もうかな」

「うん。できること少ないけど、私頑張るからなんでも頼んで」


 彼が言ってくれたことが嬉しい。
 オリバーから助けてくれたのがこの人でよかったと心の底から思う。


「じゃあ、早く食器拭いちゃおうか」


 彼の言葉で二人で食器を拭く。
 リュカの方が手慣れてるから、拭くのが早い。
 私も彼みたいにできるようになりたい。
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