好きな人と暮らす初めての日
 拭き終わると、彼が頭を撫でてくる。


「ありがとう。リーベのおかげで、俺が一人でやるよりも早く終わったよ」

「本当に? 私拭くの遅かったから、リュカ一人の方が早く終わった気がする」

「そんなことない。それにリーベは食器を割らないように慎重に拭いてくれてたんだろ?」


 そんなことまでわかるなんて、彼は本当によく私のことを見ている。

 彼の優しい言葉が嬉しいけど、気を遣わせているのでは。
 けど、リュカの表情からは私に気遣って無理に言っているようには思えない。本心で言ってくれているのであれば、彼は本当に優しい。
 そんなところも好きだ。

 ぎゅっ、と彼に抱きつく。
 彼は優しく抱きしめ返してくれる。


「リーベから抱きしめてくれるなんて珍しい」

「嫌だった?」


 彼が嫌がるとは思えないが、もしかしたらと思い、リュカの顔を見て尋ねる。
 その顔は全く嫌そうではなく、むしろ嬉しそうなもので安心する。


「まさか、嬉しいよ」


 言葉にしてくれるとより安心する。
 そのまま抱き合っていると、彼がそっと私のことを離す。
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