好きな人と暮らす初めての日
彼の上司
　彼の職場に着くと、昨日とは違う部屋に連れて行かれた。

　その部屋には厳しそうな顔つきをしている彼よりも年上の男の人がいた。
　その人が少し怖くて、思わず彼の後ろに隠れる。

　そんな私を見て、その人は苦笑いを浮かべる。


「怖がらせてしまったか」

「リーベ大丈夫だよ。この人はノアム・ランベール。俺の上司で、顔は少し怖いかもしれないけどいい人だから」


　彼の後ろから顔を覗かせノアムさんを見ると、こちらに優しく笑いかけていた。
　怖そうな人と思ったが、笑うと印象が変わる。先程の厳しそうな雰囲気から柔らかなものになっている。


「顔が怖いって失礼だな」

「あ、すみません。リーベが怖がってたのでつい」


　彼とも和やかに話しているのを見る限り、リュカの言う通り怖い人ではないのだろう。
　ノアムさんはまた私に笑いかけてくる。


「怖がらせてしまってすまない。さっきリュカが紹介してたけど、改めて俺はノアム・ランベール。こいつの上官だ」


　自己紹介してくれているので、リュカの後ろからノアムさんのことを見る。
　リュカをちらりと見ると、優しげに目を細めてこちらを見ていた。
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