好きな人と暮らす初めての日

「リーベ美味しい?」

「うん、すごく美味しい」

「そう、よかった。そうだ、俺のも一口食べてみる?」

「いいの?」

「もちろん」


 彼が頼んだステーキも気になっていたので、その申し出はありがたい。

 彼が一口サイズに切り分けた肉を「ほら、あーん」と言って、私の口元に近づけてくる。
 言われた通りに口を開けると、口の中に肉が入ってくる。
 パンやサラダと比べると噛み切りにくいが、それでも柔らかくてとても美味しい。

 私が肉を噛んでる間、彼が微笑ましそうにこちらを見ていた。
 飲み込んでから彼にお礼と美味しかったと伝える。


「まだ食べたかったら言って。いくらでもあげるから」

「嬉しいけど、それじゃあリュカが食べる分減っちゃうから大丈夫。ありがとう」

「他のもの頼むから、俺は平気だよ」


 気持ちは嬉しいが、食事を必要としない私よりも彼に食べて欲しくて、またの機会にお願いすることにする。
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