好きな人と暮らす初めての日
お出かけの支度
　その後、しばらく横になったままリュカと話してからベッドから出る。

　その際、裸足のままで出ようとする私に彼が靴をくれた。
　今まで靴を履いたことがなかったので、履くのに手間取っていると彼が手伝ってくれる。

　初めて履く靴は少し窮屈に感じた。
　けど、皆履いているそうなので我慢する。

　彼が今度もっと可愛いのを買いに行こうと言ってくれて、一緒に出かけられるのかと楽しみに思う。

　そして彼がベッドから離れていくので、私はその場で立ったまま辺りを見渡す。

　ここが彼の家。

　私が暮らしていたあの部屋よりも広いし、何よりも綺麗で埃っぽくない。家具は使い古したようなものから新しいものがある。
　それに、あの部屋と違って窓もある。窓からは外の光が差し込んできて部屋を明るく照らしてくれている。

　あの部屋にはオリバーが気まぐれに与えてきた本くらいしかなかったので、こうして見ているだけで楽しく感じる。

　彼の部屋を見ている私に彼がくすりと笑う。


「何か気になるものでもあった？」

「あの部屋には本しかなかったから、どれも新鮮に感じて楽しいの」


　彼は私の言葉を聞くと一瞬悲しそうに顔を歪めるが、すぐに優しく笑いかけてくる。

　どうしてリュカが一瞬だけとはいえ悲しそうにしたのか不思議に思いながら、彼の言葉に耳を傾ける。
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