好きな人と暮らす初めての日

「思い出すだけでも怖かっただろうに、話してくれてありがとう」

 話し終えると彼がぎゅ、と私のことを労るように抱きしめてくれる。

 話している間は少しでも安心したくて、彼にくっついていたが、やはり抱きしめてもらった方が何倍も安心する。


「リーベありがとう。辛いだろうが、もう少しだけ聞いてもいいか?」


 ノアムさんの言葉にゆっくり頷く。
 二人とも私のことを気遣わしげに見ている。


「暴力は殴る、蹴るみたいなものだけだったか?」

「……他にも刃物で切られたりとか、熱湯をかけられたりとかはありました」


 震える声で答える。
 ノアムさんは一度口を噤むが、少し間を空けてからまた口を開く。


「他に性的なことをされたりとかは?」

「そんなことも聞かないといけないんですか?」


 彼が怒った様子でノアムさんに言う。
 ノアムさんは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
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