好きな人と暮らす初めての日
「リーベ何してたの?」
「特に何もしてないよ。ぼー、としてた」
「やっぱり疲れてた?」
「ううん、ただすることがなかったから」
彼が気遣わしげに言うので、それを否定する。
私の返答を聞くと、リュカは「そっか」と言って、私の隣に座る。
彼の髪は既に乾いていて、私の髪と同じ香りがして嬉しく感じる。
「そうだ、リーベは本読むの好き?」
「うん、好き。知らないことがたくさん書いてあるから、読んでてすごく楽しい」
「なら俺の持ってるのでよかったら、好きなの読んでよ」
「いいの?」
私の問いに彼が頷く。
実はずっと彼の家にある本に興味があった。
なので、彼の申し出が嬉しくて笑顔になる。
「ふふ、嬉しそう」
「うん、すごく嬉しい。ありがとう、リュカ」
「どういたしまして」
早速、本棚へ向かって本を選ぶ。
小説や伝記、魔法や剣術について書いてある本等、色々なものがあって、背表紙を見ているだけでも楽しい。
今まで与えられたものを読むことしかなかったので、こうして自分で選べることが嬉しくてたまらない。
知識を得るのも大切だが、何か彼の役に立てるような本はないかと探すと料理本が目に入る。
これを読んで作ったら、彼の役に立てるのではないかと、その本を手に取りソファに座る。