好きな人と暮らす初めての日
「何選んだの?」
「これ」
彼に本を見せる。
彼が微笑みながら尋ねてくる。
「料理に興味あるの?」
「これ読んだら、少しは料理作れるようになるかなって。そうしたら、リュカに作ってあげたいなって」
「俺のために料理の勉強してくれるの?」
「少しでも役に立ちたいって思ったんだけど、駄目だった?」
「駄目なんてことない。嬉しいよ」
彼が抱きしめてくる。
嬉しいが、これでは本が読めない。
それを伝えると、彼は渋々離れていく。
そして私の腰に手を回してくる。
これなら本も読めるし、彼ともくっついていられるのでいいかと思い、リュカに寄りかかり本を読み始める。
どうせなら彼が好きなものを作れるようになりたいと思い彼に尋ねる。
「そう言えば、リュカは好きな料理とかあるの?」
「うーん、肉料理とか好きかな」
「お肉かぁ」
肉料理が載っているページを探し、レシピを見る。
写真と文が載っているのでわかりやすいが、所々読めない文字や初めて聞く調理器具の名前だったり、食材の名前だったりが出てきて、その度に彼に聞くと優しく教えてくれる。
結構な頻度で聞いているのに、面倒くさがる素振りがなくて、やっぱりリュカはとても優しい人だと改めて思う。