好きな人と暮らす初めての日
「あの部屋での暮らしを話したらリュカの役に立てる?」
まだ少し震える声で尋ねる。
彼は少し驚いたような顔をしてから、また表情を元の優しげなものに戻して口を開く。
「俺の役に立とうとか考えなくていいんだよ。それにリーベから話を聞きたいのは、あいつの刑罰を決める参考にしたいだけだから、嫌ならいいんだ」
彼が頭を撫でてくる。
私はまた彼の厚い胸板に顔を寄せる。
「嫌なことを思い出させてごめん」
彼がぎゅっと更に力強く私を抱きしめてくる。
その声が暗くて心配になったので、リュカの顔を見ようとするが、彼の力が強くて顔を上げられない。
「んー」と声を出して顔を上げようとするが、全く敵わない。
「どうしたの、リーベ」
やっと彼が手を離してくれて顔を上げると、リュカの表情はいつも通りのものだった。
声が暗かったのは私の気のせいだったのだろうか。
「リュカの顔を見ようとしたのに、リュカの力が強くてあげられなかった」
「なんかバタバタしてると思ったら、そういうことだったのか」
彼がくすくすと笑う。
よくわからないけどリュカが笑ってくれてるのならいいか。