好きな人と暮らす初めての日
　なら、それは私には必要ないものかもしれない。
　どういう理屈なのかはよくわからないが、私は妖精ということで自浄作用みたいなものがある。汗はそもそもそんなにかかないし、垢のようなものも勝手になくなって綺麗になっている。
　手入れをしなければ肌や髪は傷むが、生きてさえいれば体の清潔さは保たれるからだ。

　それを彼に説明すると、リュカは少し驚いた様子だ。


「なら、リーベは風呂に入らなくてもいいのか……？」


　彼がそう呟く。
　そこで昨日彼の同僚だというキャロルさんやリックさんが、お風呂に入り綺麗になって、私からいい匂いがしたらリュカが喜ぶと言っていたのを思い出す。


「やっぱり私お風呂に入る」

「わかった。もし困ったことがあったら呼んで。隣の部屋で朝ご飯作ってるから」


　そう言って、今度こそ彼が出ていく。

　昨日キャロルさんにやってもらったのを思い出しながら自分の体を綺麗にしていく。
　初めてのことで何をやるにも一苦労だったが、なんとか全身綺麗にできた。

　お風呂を上がり、彼が用意してくれたタオルで体を拭き、先程着ていた服と殆どデザインの変わらない服を着る。
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