あんなことがなければ私たちは違ってたのかな
「あれ翔じゃない?」

教室の入り口で止まっている人がいた。

「ほんとだあれは翔でしょ。」

「うん。あれは間違いなく天宮だ。」

「良かったね。」

「うん。」

「でも、翔なんで教室に入んないの?」

「さー」

近づいて行くと翔がこっちを見た。

「お!おはよう!ちょうど良いとこにきたじゃん。」

「なに?」

「助けて」

そう、翔はいつものごとくみんなに囲まれて教室に入れないのだ。

(あいかわらず人気だな〜)

なんて私は呑気に考えていた。

「はいはい、みんな1回落ち着いて。」

みなみの声によってみんな翔を囲うのをやめて、散らばった。

「みなみサンキュー。助かった。」

「翔やっと落ち着いたか。」

「おう。せいやサボらなかったんだな。」

「一応、翔とは違ってちゃんと授業は受けてるんでね。」

「そうだったな。てかなんで陽向はあんなに元気じゃないんだ?」

「あぁ〜今日は雪乃っちに朝から怒られて元気ないの。」

「そうなのか雪乃?」

「そうね。」

雪乃の返事を聞いたあと、翔は陽向のほうに向かった。

「お〜い〜元気だせよ。」

「......」

「大丈夫か?」

「うじうじするなよ。」

今まで反応がなかったのに雪乃が声を掛けた瞬間に陽向は顔をあげた。

「雪乃ほんとごめん。次からはちゃんとするから!」

「まったく〜許してあげる。」

「ガチ雪乃大好き!」

「さっきまであんなに元気なかったくせに」

「ほんと陽向は雪乃しかいないなぁ。」

陽向はみんなに言われてるとも知らず、雪乃に抱きついてすっかり元気になっていた。
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