あんなことがなければ私たちは違ってたのかな
「家まで送ってくれてありがとう。」

「いいよこれぐらい。」

「うん。」

「じゃまた明日!」

「うん!また明日ね。」

「おう」

翔はそう答えた後かのんに背を向けて帰って行った。

(ほんとは天宮の家はここまで来たら分かれ道まで戻って私の家とは違うもう片方の道を通らないと帰れないことぐらい知ってるよ。わざわざ送ってくれてありがとう)

「ありがとう。」

かのんは心の中で呟いた後、もうほとんど見えない翔の背中に向かって呟いた。

♪〜

(誰だろう?)

そう思いスマホを取り出すと雪乃からだった。

{もう家ついた?今日の放課後は翔としっかり帰れた?お知らせ待ってるよ。}

{今、天宮に送ってもらって家についたよ。}

私は家の中に入り、手を洗っていると着信音が洗面所に鳴り響いた。

(ん?雪乃?どうしたんだろう?)

「もしもし雪乃?どうしたの?」

「もう家に着いたんだよね?翔とはなんかなかったの?」

「特にはなにもなかったかな?帰りに寄り道したくらいかな。」

「え?寄り道したの?どこに?」

「えぇ〜と、」

「雪乃下に降りてらっしゃい。」

「雪乃お母さん呼んでるよ?」

「うん。ごめん。明日ゆっくり聞くからね!


「ありがとう。また明日ね?」

「うん。また明日!」

(はぁ〜今日は疲れたけどあまり寄り道とかしないから嬉しかったな。)

私はそんなことを考えながらご飯を食べる準備をした。
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