マンハッタン・キス☆Till I hear you say you love me
背中を向けて淡々と語る母の表情は、わたしからは見えない。その顔は泣いているのか笑っているのか。
「いつも、金曜日の夜に、ホテルの部屋で彼に抱かれた。今いるこの場所のように、空に近い部屋の、広いベッドの上で彼と愛し合った。そのときに窓から見た景色は、今こうして眺めている景色とよく似ているわ」
「だから、この部屋を選んだの?」
「それもあるけど…深青さんは、好きな人へ愛しているって口に出して言ったことある?」
わたしの質問へ、母から質問が返ってきた。しばし考えてから、あると答える。
「私は彼に何度も愛してると言った。彼に抱かれながら、抱かれたあとの睦言でも、何度も何度も。でも彼は言ってくれなかった。一度も。彼の私への気持ちを疑っていたわけじゃない。彼の言葉が欲しかったのよ。君を愛してると、一度でいいから言って欲しかった」
「でも、それは…」
「いつも、金曜日の夜に、ホテルの部屋で彼に抱かれた。今いるこの場所のように、空に近い部屋の、広いベッドの上で彼と愛し合った。そのときに窓から見た景色は、今こうして眺めている景色とよく似ているわ」
「だから、この部屋を選んだの?」
「それもあるけど…深青さんは、好きな人へ愛しているって口に出して言ったことある?」
わたしの質問へ、母から質問が返ってきた。しばし考えてから、あると答える。
「私は彼に何度も愛してると言った。彼に抱かれながら、抱かれたあとの睦言でも、何度も何度も。でも彼は言ってくれなかった。一度も。彼の私への気持ちを疑っていたわけじゃない。彼の言葉が欲しかったのよ。君を愛してると、一度でいいから言って欲しかった」
「でも、それは…」