マンハッタン・キス☆Till I hear you say you love me
半年ぶりの斉木病院だが、母が入院していた頃と変わっていない。毛足の長い絨毯が敷かれた廊下を、スタッフについていく。
「失礼します。加藤様がお見えになりました」
特別室のドアをノックし、部屋の中へ。
「お久しぶりです。どうぞお座りください」
「こちらこそ。母がお世話になりました」
斉木先生に挨拶をし、ソファーに腰を下ろす。
ベッドは無くなっていた。サイドテーブルもチェストも棚も、母がいた頃、ここにあった調度類は何もない。
「この部屋はもう使わないので」
周囲を見回しているわたしの視線に気づいたらしい。斉木先生がポツリと言った。
持参したお礼の品を手渡す。
「立派なご葬儀でしたね」
「斉木先生も母の葬儀にいらしていただいてありがとうございます。きっと母も喜んでいることでしょう」
母は眠るように逝った。苦しくなかったはずはないが、安らかな顔をしていた。
「失礼します。加藤様がお見えになりました」
特別室のドアをノックし、部屋の中へ。
「お久しぶりです。どうぞお座りください」
「こちらこそ。母がお世話になりました」
斉木先生に挨拶をし、ソファーに腰を下ろす。
ベッドは無くなっていた。サイドテーブルもチェストも棚も、母がいた頃、ここにあった調度類は何もない。
「この部屋はもう使わないので」
周囲を見回しているわたしの視線に気づいたらしい。斉木先生がポツリと言った。
持参したお礼の品を手渡す。
「立派なご葬儀でしたね」
「斉木先生も母の葬儀にいらしていただいてありがとうございます。きっと母も喜んでいることでしょう」
母は眠るように逝った。苦しくなかったはずはないが、安らかな顔をしていた。