スカートを穿いた猫
急いで髪をセットして家を出た。
過ごしやすい季節の10月。先週2学期の中間テストを終えたところ。
校門へと続く道にはイチョウの葉っぱが黄色の絨毯を敷いている。
下駄箱を通り、1年2組の教室へ入る。
机にリュックを置くと、隣の席の男子と目が合った。
「おはよ」
「はよ」と、短く挨拶をした彼は金森月太。
入学当初から隣の席で、さらに1学期の終わりに行った席替えでも隣の席に。
そのおかげかクラスでは一番話しやすい男子だ。
彼はみんなに月太(げった)と呼ばれている。
響きが愛称っぽさを感じさせるため、普段男子を呼び捨てにしにくい私でも呼びやすい。
「あ、今日日直だね」
黒板の隅に書かれた日直の欄には五十嵐・金森と書かれている。
私と月太の苗字だ。
「だな。俺黒板やるわ」
「じゃあ私日誌書くね」
「ん」
月太は表情が乏しく少し無愛想にも見えるけれど、綺麗な二重とくりっとした目元をしていて、笑えば可愛いのにといつもと思う。