アンハッピー・ウエディング〜後編〜
翌朝。

「ふっかーつ」

「おぉ…。おめでとう」

寿々花さん、復活。

昨日の夜…いや、正しくは今日なんだが…つい数時間前まで発熱していたとは思えない。

念の為に体温計で熱を測ってみたが、既に平熱に戻っていた。

素晴らしい。

苦い風邪薬、頑張って飲んだ甲斐があったな。

「悠理君が一晩、一緒に居てくれたお陰だねー」

いや、普通に風邪薬のお陰だと思うけど。

「元気になって良かったよ…」

元はと言えば、俺が風邪を感染してしまったのが原因だからな。

拗らせて長引いたりしたら、申し訳ない。

「熱は下がったけど、念の為に今日は休んだ方が良いぞ」

「えー」

「えーじゃないんだよ。折角治ってるのに、またぶり返したら困るだろ」

さすがに、二度目は洒落にならないぞ。

「俺も一緒に休んで、今日一日一緒に居るから」

「え、良いの?」

「良いよ」

何せ、一人で留守番させることに不安が残る寿々花さんだからな。

俺が目を離したら、また勝手にうろちょろしかねない。

またホラー映画を観る…くらいならまぁ良いけど。

俺が見張って、大人しくさせておかないと。

学校には…先週からの風邪が長引いてるって、適当言っておこう。

仮病だけども。バレなければ問題ない。

…それにさ。

風邪引いた時くらい、好きなだけ甘えたって良いだろ?

甘やかしてやるよ。思う存分な。

「家の中で大人しくしてるって約束するなら、おままごとでもお絵描きでも、何でも付き合ってやるよ」

ホラー映画は…ちょっと勘弁して欲しいけどな。

今度は俺の具合が悪くなりかねないから。

他の遊びなら、何でも付き合っ、

「やったー。じゃあ、お医者さんごっこして遊ぼー」

「お、おぉ…」

…寄りにもよって、そんな遊びなのか。

良いよ。何でも付き合うって宣言したばっかりだからな。

お医者さんごっこでも何でも、童心に帰って付き合ってやるよ。

遊べるほど元気になったんだから、それ以上大切なことはない。だろ?
< 105 / 645 >

この作品をシェア

pagetop