アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「うっま。他人の財布で食うパンケーキ、めっちゃうま」

「どうも、ご馳走様です。悠理さん」

注文したパンケーキを頬張りながら、雛堂と乙無が言った。

喜んでもらえたようで何より。

「人には優しくしておくもんだなー。別に見返りが欲しくて見舞いに行った訳じゃねーけど。星見の兄さんは律儀な人だよ」

「そんな大袈裟な…。助けてもらったんだから、お礼をするのは当たり前だろ?」

「悠理さん、人間には2種類いるんですよ。受けた恩を忘れない人と、恩を仇で返す人。悠理さんは前者ですね」

「…あ、そう」

せめて友達相手には、受けた恩を忘れない人間でありたいな。俺は。

借りを作りっぱなしなんて、逆に気持ち悪いだろ。

「もぐもぐ。やっぱりチョコバナナにして正解だったな。間違いなく美味い奴」

「良かったな」

…そんな風にして、男三人で仲良くパンケーキを楽しんだ。

え?良い歳した野郎三人組が、喫茶店でパンケーキなんて気持ち悪い、だって?

うるせぇ。良いだろ別に。

男だって何歳だって、パンケーキくらい食べたいときだってあるわ。

しかも、これはお見舞いのお礼なんだから。

外野は気にせず、思う存分パンケーキを楽しむことにしよう。
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