アンハッピー・ウエディング〜後編〜
パンケーキを食べ終えた後。

「はー…。さすがに、生クリーム山盛りでパンケーキ倍増はキツかったわ…」

「軟弱ですね、大也さん。僕はまだまだ余裕ですけど。何せ僕は人間ではなく、邪神イングレア様より神血を賜りし、忠実なる邪神の眷属、」

「にしても、早口言葉遊びかー。楽しそうだなー」

「…邪神の眷属たる僕の言葉を無視するとは。イングレア様の神罰が下ってしまえ」

…乙無が、なんか毒づいてるぞ。

あんたのそれな、ワンパターン過ぎてもう飽きたんだよ。

あー、また言ってる。くらいにしか思わなくなってきた。

俺は前から思ってたけどな。

…それより。

また、冒頭の寿々花さんの話に戻るのか?

「楽しくねぇよ…。あんたも付き合ってみろよ。炙りカルビとかさ…」

「え?余裕だろ?炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ。ほら」

マジかよ。一回も噛まなかった、雛堂。

あんた、さては早口言葉のプロだな…?

「うち、チビ共何匹も家にいるけどさぁ。今時、早口言葉で遊ぶチビはいねーよ」

「…悪かったな。うちの寿々花さんはチビ以下で…」

「いやいや、誤解すんなよ。褒めてんだぞ?星見の兄さんの嫁ちゃんをディスる気なんて、欠片もねーよ」

…あ、そう。

俺が「うちの寿々花さんは子供っぽくて…」と謙遜するのは良いけどさ。

他人に「お宅のお嬢さん、幼稚ですねw」と言われると、猛烈に腹立つの。

我ながら勝手なもんだと思うけど、そう思ってしまうのだから仕方ない。

「良いよなぁ、可愛くて。嫌味抜きで」

「…そうか…?しょっちゅう、おままごとだのお絵描きだの付き合わされて…。正直、そういうのはうんざりしてるけど」

「可愛いじゃん。付き合ってやれよ、それくらい」

何だと?

そういうのはな、雛堂。他人事だから「付き合ってやれよ」なんて言えるんだよ。

自分がやってみろよ。この歳で。お医者さんごっこ。

「俺、一体何やってんだろう?」って気分になるから。

それなのに、雛堂は。

「うちのチビなんか、お絵描きやおままごとなんかしねーぞ」

とのこと。

雛堂のところにいる「チビ」というのは、弟達のことだろう?

男の子なら、あんまりおままごとやお絵描きはしないだろう。

「男の子はしょうがないだろ。外遊びの方が…」

鬼ごっことか、かくれんぼとか、ケイドロとか。

ドッチボールとか、よくやらなかったか?小学校の時。

しかし。

「そんな可愛くねーって。外遊びもろくにしねーよ。最近の生意気なガキンチョは」

「え…。じゃあ何するんだ?」

「ひたすら動画。yourtubu(ユアチューブ)漬けの毎日だよ」

…あっ。

なんか、典型的な現代っ子って感じ。
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