アンハッピー・ウエディング〜後編〜
しかし。

初めてのテレビゲームに興奮していられたのは、そこまでだった。

「…何だ?これ…」

「…??」

てっきり、電源を入れたらすぐにゲームのスタート画面が出てくるものだと思っていたのに。

コントローラーを設定してください、だの。言語を選んでください、だの。

アカウント設定だの、オンライン設定だの、俺には何が何だか分からないことが、次々に出てくる。

…何これ。

スマホ?初めてのスマホみたいな感じ?

スマホなら、購入したショップの店員さんに手伝ってもらいながら設定出来るから、分からなくてもどうとでもなるが。

今この場には、教えてくれる人も手伝ってくれる人もいない。

頭を傾げている田舎者が二人。

言うまでもないが、俺と寿々花さんのことである。

田舎者って言うか…機械音痴…?

いや、違うから。寿々花さんはともかく、俺は違う。

ただ、初めてだから分からないだけだから。

こんな時のために、説明書を読めば…と思ったが。

「あれ?これ、説明書ついてないのか…?」

…そうか。分かった。

最近の家電って、紙の説明書じゃなくて、デジタルが主流なんだっけ?

なんてことだ…。じゃあ、説明書見ながら初期設定…は出来ないのか。

…まぁ、説明書があったとしてもややこしそうだけど…。

「…仕方ない。後回しだ」

「…?後回し?」

「ちょっと、思いの外初期設定が大変そうだからさ…。休みの日にゆっくりやるよ」

今からこんなことやってたら、ゲームをプレイする頃には日付変わってそう。

明日も学校なのに、さすがに深夜までゲームに齧り付いてる訳にはいかないからさ。

「今日のところはお預け、ってことで…。良いか?」

「うん、良いよー」

あと、初期設定のやり方雛堂に聞いてこよう。
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