アンハッピー・ウエディング〜後編〜
そんな話をしているうちに、ようやく順番が回ってきた。

いよいよだな。

「どっちが先に行く?」

「ここは年功序列で、星見の兄さん達が先にどうぞ。自分と乙無の兄さんは、後から追いかけるわ」

とのこと。

じゃ、俺と寿々花さんペアが先行で。

雛堂と乙無ペアが後攻ってことで。

入り口で料金を払って、俺と寿々花さんは暗い暗幕の中に入った。

おぉ、なんか一気に雰囲気出てきた。

「よし、寿々花さん。行くか」

「うん。…暗くて、足元がよく見えない」

おいおい、すっ転ぶなよ。

俺だって足元、覚束ないのに。寿々花さんがすっ転んだらどうやって助け起こせば良いのか。

…それなら。

俺は、自分の右手をすっと差し出した。

「…悠理君?」

「手、繋いで入ろうぜ。はぐれたり転んだりしたら困るだろ?」

「…!うん」

寿々花さんは何故か、妙に嬉しそうに頷き。

自分の左手を出して、ぎゅっと俺と手を繋いだ。

あ、やべ…。緊張で手が汗ばんでるの、バレたかな。

「よし…行こうか」

「うん。れっつごー」

余裕だな、寿々花さん。

果たして俺も同じように、余裕でこのお化け屋敷を踏破することが出来るだろうか…?
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