アンハッピー・ウエディング〜後編〜
このゲーム、事あるごとに選択肢が出てきて。

主人公がどの選択肢を選ぶかによって、パラメータや好感度が上がったり下がったりするらしい。

だから、選択肢はよくよく考えて選ばなければならない。

最初の選択肢は、どの映画を観るかについて。

1、学園モノの恋愛映画。2、泣ける動物の映画。3、話題のコメディ映画。

この三択の中から、相手の好みに合致するであろう映画を選べとさ。

成程。なかなか難しい質問だな。

「ホラー映画があったら良かったのにー…」

しょぼん、とする寿々花さん。

残念ながら、ホラー映画は選択肢に入ってないから。諦めろ。

つーか、選択肢に含まれていたとしても、初デートでホラー映画はキツいだろ。

同じ理由で、恋愛モノもナシだな。

ヤンキーだぞ?恋愛映画なんて、全然似合わない。

ハードル高過ぎ。そういうのは付き合ってから観るもんだろ。

ってことで、選択肢1は除外だな。

残る選択肢は二つ…。

「泣ける映画か…。コメディ映画か…」
 
果たしてこのヤンキーイケメン、好きな映画のジャンルは何なんだろうな。

ヤンキーに似合いそうな、勝手なイメージで判断するなら…。

「…やっぱり、コメディ映画じゃないか?」

「そうなの?悠理君はそう思う?」

「え。寿々花さんは泣ける映画の方が良いと思うか?」

ヤンキーだぞ?

動物の泣ける映画なんて、とても観そうには思えないけど。

「意外と動物が好きな人かもしれないよ?」

「いや、それは…分からないけど…。…そうは見えんだろ?」

「そうかなー」

ヤンキーっぽく見えるけど、実は動物を愛する優しい心が…みたいな?

あぁ、もうやめやめ。そんな勘繰りしてたら、一生決まらねぇよ。

「下手な選択して外したら、余計好感度下がるだろ。ここは無難に、コメディ映画にしておこうぜ」

「うん、分かったー」

寿々花さんはコントローラーを動かし、三つ目の選択肢、コメディ映画を観る、を選ぶ。

さぁ、対するイケメンの反応は。

『えっ…。お前、そういう趣味だったのか…?…ふーん…』

と、何故かドン引きしたような顔。

…何だよ。

コメディ映画の何が悪いんだ?

「…外れだったみたいだね」

「嘘だろ…。どれが正解だったんだ?まさか恋愛映画…それとも、本当に動物の映画…?」

試しに別の選択肢も選んで、ヤンキーの反応を確認したかったけど。

当然巻き戻しなんて出来るはずがないので、そのままコメディ映画が始まってしまった。

駄目だわ、俺。ヤンキーイケメンの気持ちが全然分かんねぇ。

現状、寿々花さんの方がよくヤンキーの気持ちを理解してないか…?
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