アンハッピー・ウエディング〜後編〜
全然好感度、上がらねぇからさ。

もう諦めて、別の男を攻略しないか?

何なら女友達と交友を深めて、女友達との友情エンドで終わろうぜ。

…と思ったけど、諦めるのはまだ早い。

「何とか、失った好感度を回復させないと…」

何か手は。手はないのか。

すると。

「あ、また選択肢が出てきた」

「おっ…。良いところに」

平日の朝、いつもより早く目が覚めた主人公。

『折角だから、今日はお弁当を作っていこうかな。誰に作ってあげよう…?』

とのこと。

攻略出来るイケメン達の名前が、ずらりと選択肢に並ぶ。

「寿々花さん、今のところ、他の男に鞍替えするつもりは?」

「特にないかなー」

…じゃ、ここはやっぱりヤンキーイケメンを選ぶか。

すると、続けて別の選択肢。

出てきた選択肢は、1、唐揚げ弁当にする。2、パンケーキ弁当にする。3、焼き魚弁当にする。

1と3は分かるけど、2は何だよ。

パンケーキ弁当…?

攻略対象が甘いもの好きなら、多分このパンケーキ弁当が正解なんだろうな。

果たしてあのヤンキー、と好きな食べ物は何なんだろう。

「順当に考えたら…1だよな」

唐揚げ弁当、好きそうな顔してんじゃん。

ってか、唐揚げ弁当は誰でも好きだよ。万人にウケる弁当だよ。

「早起きしてお弁当を作るなんて、悠理君みたいだね」

「いや、それは良いから…。どの選択にするのか考えろよ」

「うーん。やっぱり唐揚げ弁当かな…?」

寿々花さんもそう思うか?

やっぱり、それが一番無難なような…。

…いや、待て。よく考えろ。

さっきまでも俺、無難な選択をして全部外してきたからな。

ここは奇をてらって、意外そうな選択をした方が…むしろ当たりなのでは?

…よし。

「寿々花さん、ここはパンケーキ弁当にしてみようぜ」

「え。パンケーキ…?…せめて焼き魚にしない?」

「いや、このヤンキーはヤンキーに見えて、意外とヤンキーっぽくない趣味のように見えるから…」

よくあるだろ?強面そうな人に限って、実は可愛いものとか甘いものが大好き、って。

だからきっと、このヤンキーイケメンも、ぶっきらぼうな態度だけど実は可愛いパンケーキが大好きかもしれない。

「分かった。じゃあパンケーキ弁当にしてみよーっと」

渾身のパンケーキ弁当で、ヤンキーイケメンの好感度を回復させる作戦。

女の子の手作り弁当だぞ?

唐揚げだろうがパンケーキだろうが焼き魚だろうが、女の子から手作り弁当をもらったら、男なら誰でも嬉しいだろ。

さぁ、この作戦が成功するか、それとも裏目に出るか…。

ヤンキーイケメンの答えは。

『え、弁当…?』

怪訝そうな顔をして、弁当箱を受け取り。

弁当箱の蓋を開けて、一言。

『うわ…。悪いけど、俺これ嫌いなんだ。他の奴に渡してくれ』

「…」

「…」

弁当箱、突き返される始末。

…なぁ。

もう、このヤンキー攻略すんのやめないか?
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